【青色申告決算書解説シリーズ⑯】外注工賃とは?
こんにちは、公認会計士/税理士の齊藤寛子です。
そろそろ確定申告が気になる個人事業主の方向けに、お役立ち情報をお届けしています。
先日から「確定申告書」とセットで提出する「青色申告決算書」について複数回に渡り、詳細解説をお届けしています。
今日は【青色申告決算書解説シリーズ】第16弾として、「損益計算書」内に計上される事業経費のうち、14番目の「外注工賃」について詳細解説します。
1.外注工賃とは?
外注工賃とは、ほかの業者に業務の一部を依頼した時のの支払いを言います。「外注加工費」とも呼ばれます。
外注工賃に分類されるものとしては、以下のものが該当します。
- 外注費、加工費、委託料、下請け代、デザイン料(外注)、発送作業(外注)、調査(外注)、出荷業務(外注)、ビル管理(外注)等
2.外注加工費と給与の区分
外注加工費として支払う場合、消費税額の算出で有利になる、源泉徴収税等を預かる手間がなくなる等の利点があります。
ただし、以下のケースでは実質的な従業員に対する給与の支払いと判断される可能性がありますので、注意が必要です。
- 外注先(受託者)が使う材料や工具などを受託者が負担せず、自らが支払っている。
- 受託者の通勤に係る交通費を自らが支払っている。
- 依頼した仕事が遂行されたかどうかの責任を自らが負っている。
3.源泉徴収が必要な外注加工費とは?
(1)源泉徴収義務者
個人事業主であっても、従業員を雇って給与を支払っている場合には、源泉徴収義務者となります。
つまり、外注費の支払の際に、その報酬の一部を源泉徴収税として預かって、税務署に納付する義務が生じます。
ただし、雇っているのが常に2名以下であり、従業員といってもお手伝いさんのような家事使用人の場合は源泉徴収義務者にはなりません。
(2)源泉徴収対象の報酬
受託者が個人の場合で、源泉徴収義務者の個人事業主が以下の業務を依頼した場合には、源泉徴収の義務が生じます。
- 原稿料や講演料など
- 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
4.年度末で引渡し未了のもの
年度末時点でいまだサービス提供が完了していない場合でも、代金の一部を前払いしていることがあります。
前払いした金額は「前渡金」又は「前払金」に計上し、実際にサービスの提供を受けたタイミングで「前渡金」又は「前払金」を取り崩して、「外注加工賃」に計上します。
特に、2.給与か否かというところは税務署からも厳しくチェックが入る所ですので、しっかり確認しておきましょう。
※「外注加工賃」について、こちらの動画で解説していますので、ぜひご覧ください。
最後までお読み下さいましてありがとうございます。
以上、「青色申告決算書解説シリーズ」第16弾として、「外注工賃」について簡単に解説させて頂きました。
年に1回の煩わしい確定申告作業の一助になれば幸いです。
なお、「ご自身で帳簿付けや確定申告書を作成するのが大変」という方向けに、記帳代行&確定申告書作成代行のサービスをご提供しております。
初回60分まで無料にてご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。