【青色申告決算書解説シリーズ③】租税公課とは?
こんにちは、公認会計士/税理士の齊藤寛子です。
そろそろ確定申告が気になる個人事業主の方向けに、お役立ち情報をお届けしています。
先日から「確定申告書」とセットで提出する「青色申告決算書」について複数回に渡り、詳細解説をお届けしています。
今日は【青色申告決算書解説シリーズ】第3弾として、「損益計算書」内に計上される事業経費のうち、1番目の「租税公課」について詳細解説します。
1.租税公課とは?
租税公課とは、税金や公の負担金のことを言います。
租税とは、国税や地方税として納める税金であり、公課とは、租税以外の賦課金(ふかきん)や罰金などで課せられる公の金銭負担です。
租税公課に含まれる支払いには以下のものがあります。
- 収入印紙、自動車取得税、自動車重量税、自動車税、固定資産税、償却資産税、登録免許税、不動産取得税、道路占有料、住民票発行手数料、ゴルフ場利用税、車庫証明手数料、印鑑証明書発行手数料、全部事項証明書発行手数料、公的手数料、パスポート交付手数料、ビザ取得費、謄本代、利子税
通常、租税公課に計上されるものは消費税の対象外ですが、印紙・証紙を金券ショップで購入した場合には課税対象となりますので、記帳の際にはご留意ください。
freee会計では「租税公課」の勘定科目のデフォルト設定で消費税は「対象外」として設定されていますが、上記のようなケースでは仕訳起票の際に税区分の変更が必要となります。
2.個人事業主で経費とならないもの
以下の2つは、先ほどの「租税公課」で例示されているものでも、経費とは出来ません。
- プライベートで使っている資産に課される税金:
住宅部分の固定資産税や仕事で使用しない車両に関する税金等。 - 事業に関係なく課される税金:
所得税、住民税、贈与税等
仮に上記の税金を事業用の資金から支払った場合には、「事業主貸」勘定に計上し、経費からは除外することとなります。
また、上の事例でも個人の場合は該当しないということで挙げていませんが、加算税・延滞税・罰金等懲罰的な性格を有するものは経費として認められませんので、ご注意ください。
さらに、交通反則金に関してですが、個人事業主や従業員が業務上起こしたものであっても、経費とはならないため、事業用の資金から支払った場合には「事業主貸」にて処理します。
仮に、従業員が業務と関係なく起こしたものを個人事業主が負担してあげた場合には、「給料手当」として、従業員の方の所得税の課税対象となりますので、ご留意ください。
3.経費に計上するタイミング
- 固定資産税、自動車税
土地、建物は毎年1月1日、自動車は毎年4月1日の所有者に税金が課されます。
これらの税金はまだ納付していなくても、納税通知書を受領した日に経費として計上します。 - 固定資産税等納期が分割している場合:
上述に関わらず、それぞれ分割して納付した日に経費とすることができます。 - 事業税
事業税は所得税の確定申告の結果、計算された税額が毎年8月頃に通知され、8月一括又は8月と11月の分割のいずれかで支払うことになっています。
いずれも同じ期になりますので、通知された時点で経費計上しても、支払った時点で経費計上しても構いません。
「租税公課」という名前からしてとっつきにくい費目ですが、該当の支払いがある方は、1月からの帳簿を見直して、正しく処理されているかチェックしておくと、2月の確定申告も安心です。
※「租税公課」について、こちらの動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。
最後までお読み下さいましてありがとうございます。
以上、「青色申告決算書解説シリーズ」第3弾として、「租税公課」について簡単に解説させて頂きました。
年に1回の煩わしい確定申告作業の一助になれば幸いです。
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