【青色申告決算書解説シリーズ⑨】交際費とは?
こんにちは、公認会計士/税理士の齊藤寛子です。
そろそろ確定申告が気になる個人事業主の方向けに、お役立ち情報をお届けしています。
先日から「確定申告書」とセットで提出する「青色申告決算書」について複数回に渡り、詳細解説をお届けしています。
今日は【青色申告決算書解説シリーズ】第9弾として、「損益計算書」内に計上される事業経費のうち、7番目の「交際費」について詳細解説します。
1.交際費とは?
交際費とは、事業を円滑に行うための、得意先に対する接待等の支払を言います。
交際費に含まれるものには以下のようなものが挙げられます。
- 得意先接待費用、接待飲食代、会食(接待)、お土産代(取引先)、宴会費用(取引先)、送迎交通費(接待)、接待ゴルフプレー代、事務所移転祝、お中元、お歳暮、祝い金・見舞金・取引先への慶弔費・出産祝い(取引先)、謝礼金(取引先)、餞別代(取引先)、親睦旅行代(取引先)、旅行招待・観劇招待(取引先)、商品券・図書カード・ビール券(贈答用)、レジャークラブ会費(接待)、ロータリークラブ会費等
なお、通常、交際費は消費税が発生する「課税取引」になりますが、商品券・ビール券等の金券類は「非課税」となりますし、現金で渡す慶弔費やゴルフ場利用税も消費税の「対象外」となりますので、記帳時に課税区分の選択にご注意ください。
2.個人と法人の取り扱いの違い
(1)個人事業主の場合
個人事業主の場合、「交際費」の全額が経費として認められます。
しかし、そのためには「本当に飲食した相手が取引先であること」を証明する必要があります。
帳簿上には、取引先の名称・氏名・打ち合わせ内容などを記載しておく必要がありますので、「領収書」をもらったら、忘れないうちにメモしておきましょう。
(2)法人の場合
法人の場合は、資本金の額によって取り扱いが異なります。
- 資本金>1億円:「交際費」の内、「接待飲食費」の50%が経費となる。
- 資本金≦1億円:年間800万円まで経費として認められる。選択で「接待飲食費」の50%を経費とすることも可。
3.「会議費」との区分(法人)
法人における飲食代に関して、得意先など社外の人が参加していて、1人当たり5,000円以下で「一定の記載」が記載された書類を保存している場合には、「交際費」ではなく、「会議費」として処理します。
「一定の記載」は、以下の通りです。
- 飲食のあった年月日
- 飲食にかかった金額、飲食店の名称及び住所
- 参加した得意先名及びその関係(A株式会社 営業部 山田華子 卸売先 等)
※自社の参加者は不要。 - 自社を含めた全体の参加者の人数
1.&2.については領収書に記載があるため、3.&4.を領収書の余白に記載しておけば、上記書類として使用できます。
なお、この取り扱いはあくまで「飲食代」に限ったことですので、会食の帰りに渡したお車代、贈答品は金額が5,000円以下であっても、「交際費」として処理する必要があります。
4.「寄附金」との区分
事業に直接関係のない者に対して、金銭・物品などの贈与をした場合には、原則「寄付金」となります。
具体的には、神社の祭礼などの寄贈金や政治団体、社会事業団体への拠出金等が「寄付金」に該当します。
5.「取材費用」の取り扱い
フリーライターの方ですと、取材や座談会等頻繁に行われているかもしれません。
そのような費用は「交際費」とはせず、取材や座談会での飲食費、取材先や参加者への謝礼金、交通費をまとめて、「取材費」として処理するのが良いと思います。
漏れなく経費として計上するためにも、メモを含めしっかり証拠を残しておいていただくと安心です。
※「交際費」について、こちらの動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。
最後までお読み下さいましてありがとうございます。
以上、「青色申告決算書解説シリーズ」第9弾として、「交際費」について簡単に解説させて頂きました。
年に1回の煩わしい確定申告作業の一助になれば幸いです。
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