【青色申告決算書解説シリーズ⑦】通信費とは?
こんにちは、公認会計士/税理士の齊藤寛子です。
そろそろ確定申告が気になる個人事業主の方向けに、お役立ち情報をお届けしています。
先日から「確定申告書」とセットで提出する「青色申告決算書」について複数回に渡り、詳細解説をお届けしています。
今日は【青色申告決算書解説シリーズ】第7弾として、「損益計算書」内に計上される事業経費のうち、5番目の「通信費」について詳細解説します。
1.通信費とは?
通信費とは、電話・FAX・携帯電話・インターネットの利用料・郵便料金にかかる支払を言います。
通信費に含まれるものには以下のようなものが挙げられます。
- 電話、携帯電話、FAX、切手、郵便切手、郵便料金、料金別納郵便、はがき、ゆうパック、電報料金(祝電・お悔み電報は「交際費」)、スマートレター、小包料金、速達料金、特定記録、レターパック、メール便、配達記録、内容証明、宅配便(書類等)、国際郵便、航空郵便、書留料金、エアメール、国際宅配便、ドメイン使用料、サーバー使用料、インターネット関連費、ケーブルTV加入金・プロバイダー費用、スカイプ使用料、zoom使用料、wifi使用料等
コロナ禍で私もかなりzoomに助けられていますが、昔と今で通信の仕方が違っても、通信費はビジネス上のコミュニケーションに欠かせない支出ですね。
なお、国内の通話料は消費税がかかる「課税取引」になりますが、海外への通話料は「対象外」となりますので、該当のある方は明細書を確認して正しく処理して頂けたらと思います。
2.切手等まとめて購入した場合の処理
切手やはがき等、ある程度まとめて購入する場合の処理は以下の通りです。
<購入時>
実際には使用していなくても、購入した時点で、購入した全額を経費として処理します。
- (借方)通信費 10,000円 (貸方)現金 10,000円
<12月31日>
年度末に未使用分が多い場合は、未使用分を計算して「貯蔵品」へ振り替えます。
- (借方)貯蔵品 5,000円 (貸方)通信費 5,000円
3.間違いやすい勘定科目
(1)租税公課
切手と似たようなものに「収入印紙」があります。
「収入印紙」は国庫収入となる租税・手数料その他の収納金の徴収のために政府が発行する証票で、租税や手数料の支払いの証明となる印刷物(紙片)であり領収書や申請書などの対象書類や対象商品に貼付して用います。
したがって、処理する勘定科目は「通信費」ではなく「租税公課」となりますので、ご注意ください。
(2)荷造運賃
通信費と似たような勘定科目に「荷造運賃」があります。
通信費か、荷造運賃で処理するか否かは発送するもので判断します。
- 発送するものが商品 → 荷造運賃
- 発送するものが商品以外(書類等) → 通信費
たまに郵便局なら「通信費」、宅配業者なら「荷造運賃」と業者による違いと勘違いされている方もいらっしゃいますが、あくまで商品かそれ以外か、という違いになります。
ですから、物販をされている方は「荷造運賃」が発生しますが、物販をされていない方の場合は基本的にはすべて「通信費」になると考えて頂けたら良いと思います。
4.経費に計上するタイミング
経費の計上は「発生基準」が原則ですので、通信費も本来は請求書に記載された使用月で計上するのが原則です。
しかし、毎月継続して行うことを条件に、支払日や銀行口座からの振替日に経費とすることも認められています。
ですから、年度末において、通信費についてはあまり計上時期に神経質になり過ぎなくても大丈夫です。
年度末においては、月次推移等を確認して頂き、金融機関の休日の関係で支払いのタイミングがずれたものを除き、ほぼ毎月同程度の金額で推移しているかを確認して、計上漏れや二重計上がないことをチェックしましょう。
※「通信費」について、こちらの動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。
最後までお読み下さいましてありがとうございます。
以上、「青色申告決算書解説シリーズ」第7弾として、「通信費」について簡単に解説させて頂きました。
年に1回の煩わしい確定申告作業の一助になれば幸いです。
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