Written by Hiroko Saito

【そろそろ確定申告が気になる方へ】作業前に必要な資料を準備しよう

確定申告

こんにちは、公認会計士/税理士の齊藤寛子です。

そろそろ確定申告が気になる個人事業主の方向けに、お役立ち情報をお届けしています。

本日は「確定申告の作業前に準備する資料」についてです。

「準備9割」という言葉もありますが、やみくもに作業に入るよりも、まずは確定申告に必要な資料を集めるところからスタートした方が作業も効率的に進みます。
なかなか重い腰が上がらない方もまずは必要な資料を集めることから始めてみましょう。

確定申告の作業前に集める資料は以下の5つに分類できます。

  1. 銀行の入出金明細
  2. 支払調書・支払証明書
  3. 領収書・レシート
  4. クレジットカード明細
  5. Paypal等その他決済サービスの取引明細

1.銀行の入出金明細を集める

個人事業主の会計期間は1/1~12/31となりますので、事業用に使用している銀行口座の1/1~12/31までの入出金明細をネットバンキングのサイトからダウンロードしたり、通帳記入を行いましょう。

青色申告55万円控除の場合には、複式簿記での帳簿付けが必要になりますので、全ての入出金を記録する必要があります。

一方、白色申告又は青色申告10万円控除の場合は単式簿記での帳簿付けとなりますので、下記のみ抽出することで問題ありません。

  • クライアントからの入金額
  • 経費となる出費の金額
  • 経費の支払いに伴い発生した振込手数料

つまり、事業用の銀行口座の入出金にプライベートの入出金が含まれている場合にはそれらを除外して集計します。

なお、ネットバンキングを利用している場合、週末の夜等メンテナンスで使用できない時間帯もありますし、銀行によっては数ヶ月分しか明細がダウンロードできない場合がありますので、余裕をもって早めに明細をダウンロードしておきましょう。

2. 支払調書や支払証明書を集める

①クライアントからの支払調書

銀行の入出金明細からクライアントからの入金額を集計することになりますが、売上の金額と入金額がイコールではないケースがあります。

一定の業務に関しては、報酬の支払いに際して、所得税が差し引かれて振り込まれるケースがあり、1年分の正しい売上金額と源泉徴収された金額を1枚の紙で分かりやすく示してくれるのが「支払調書」という書類です。

大体翌年の1月中にお手元に届くはずですが、「支払調書」は発行義務がないため、発行してくれない取引先もあります。
振込額と請求額の詳細がご自身であやふやな場合には、取引先の担当者の方に「支払調書」を発行してもらえないかお問い合わせください。

先に所得税を支払った分は、最終的な税額から控除されます。
多く支払い過ぎている場合には還付されますので、必ず確認するようにしましょう。

②源泉徴収票

以下に該当する方は、給料が支払われた会社から「源泉徴収票」が手渡されていると思います。

  • 2021年の途中で会社を辞めて個人事業主になった方
  • フリーランスだけどアルバイトの給料もある方
  • 副業されている方

「給与所得」として、「確定申告書」に入力が必要になりますので、ご確認ください。

③支払証明書/控除証明書

所得控除や税額控除のために必要になる資料を送付のタイミング別に分類すると、以下の通りです。

支払の都度、又は年末に一括で交付されるもの

 医療費の領収書等 国税庁の医療費集計フォーム等を利用して集計する
 寄付金受領証明書 ふるさと納税や赤十字の寄付等

▶【国税庁HP】医療費集計フォーム

年末にかけて送付・公布されるもの(支払時の交付もある)

 生命保険料控除証明書 一般用・個人年金用・医療介護用の3種類
 地震保険料控除証明書 火災保険のみの場合は発行されない
 社会保険料控除証明書 国民年金や基金等
 小規模企業共済掛金証明書 加入している場合
 給与所得の源泉徴収票 年末調整時や退職時に交付される
 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 住宅ローン控除を受ける場合

年明けに送付されるもの

 公的年金の源泉徴収票 厚生年金などを受け取っている場合
 個人年金などの年間通知書 保険会社から個人年金を受け取っている場合
 国保などの年間支払額通知書 市区町村によっては送付されるところもあり

 

※こちらの動画でも、詳細を解説しておりますので、ぜひご覧ください。

3. 領収書・レシートを集める

2022年2月~3月にかけて申告するのは2021年分となりますので、2021/1/1~2021/12/31の領収書やレシートが対象です。

領収書やレシートがあちこちに散らばっているようでしたら、まずは1ヶ所に集める所から取り掛かりましょう。

また、プライベートと経費の領収書が混ざっているような場合に、明らかに経費でないものを避けるための、領収書の仕分け方については以下の記事で解説しています。
▶【そろそろ確定申告が気になる方へ】領収書の仕分け方~帳簿付けの第一歩

使った経費に関しては、もちろんすべて集計した方が税金がお得になるのは間違いないですが、時間がない場合、費用対効果を考えて、切り捨てるという英断も必要になります。

経費を計上することで節約できる税金は、通常、経費の金額✖10%~20%くらいです。

この%は所得の金額に応じて変わるので、一概には言えませんが、例えば所得税率10%の方が10,000円の経費を計上することで、得られる税金の節約額は10,000円✖10%=1,000円となります。

この金額を見てそれだけの手間をかけて経費を集計すべきかどうかを検討し、金額の大きい領収書から処理していくことも視野に入れましょう。

4. クレジットカード明細を集める

領収書・レシート同様に、2021年分として、2021/1/1~2021/12/31のクレジットカード明細が対象です。

オンラインのサイトからダウンロードしたり、郵送で送られてきた明細を1年分集めましょう。
ただし、クレジットカードの場合は締め日が必ずしも末日ではないので注意が必要です。

利用期日が、2021年中のものかどうかを確認する必要があります。
2021年12月に利用した分は2022年2月の明細、下手すると2022年3月の明細に含まれることがありますので、年度末ギリギリに利用したものがあれば、それが漏れていないかきちんと確認しましょう。

逆に2020年12月の利用分が2021年以降の明細に含まれている可能性もありますので、それらは2021年の集計対象からは控除する必要があります。

オンラインで明細がダウンロードできない場合で、かつクレジットカード明細を紛失した場合は、Amazonや楽天、アップルストア等のサイトの利用履歴があればそれを使うことができますし、注文した際のメール等も証憑になります。

5. Paypal等その他決済サービスの取引明細を集める

PaypalやBASE等、色々な決済機能を使って売上の入金がある方もいらっしゃると思います。

ご自身が利用されている決済サービスの取引明細をダウンロード等して、売上やそれに伴う決済手数料等を漏れなく集計しましょう。

 

最後までお読み下さいましてありがとうございます。

以上、「確定申告の作業前に準備する資料」について簡単に解説させて頂きました。

年に1回の煩わしい確定申告作業の一助になれば幸いです。

なお、「ご自身で帳簿付けや確定申告書を作成するのが大変」という方向けに、記帳代行&確定申告書作成代行のサービスをご提供しております。
初回60分まで無料にてご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

▶【ご案内:11月&12月日程】記帳代行&税務申告書作成代行の無料相談のお知らせ