【そろそろ確定申告が気になる方へ】確定申告の全体像
こんにちは、公認会計士/税理士の齊藤寛子です。
個人事業主の確定申告の受付開始まで3ヶ月を切りました。
特に初めての確定申告ですと、「何から手を付けたらいいの?」という方も多いと思います。
本の最初には目次があるように、確定申告もまずは全体像をつかむことで、作業のイメージがつきやすいと思いますので、本日は確定申告の全体の流れを押さえつつ、個々の作業のポイントをお伝えします。
確定申告の全体像
確定申告でやなければならない作業は、以下の5つに分類できます。
- 帳簿作成
- 決算書作成
- 確定申告書作成
- 確定申告書提出
- 納税
そして、これら5つの作業のうち、8割を占めているのが1.帳簿作成です。
毎年、確定申告直前に慌てている人がいますが、期中で帳簿作成をしっかりやっていれば、2.以降の作業は1日もかかりません。
いかに期中でコツコツやっておくかが大事になってきますので、もし領収書等たまっているようでしたら、ぜひ今日から少しずつでも処理して頂くと、3ヶ月後の確定申告も安心です♡
それでは、作業1.から順番に、詳細を解説していきます。
1.帳簿作成
帳簿作成とは?
帳簿には、1年間の売上と経費を漏れなく集計します。
手書きでも、エクセルでも、会計ソフトを利用するにしても、いずれの場合もこれが帳簿作成の基本です。
そして、集計の際に帳簿に最低限、記録しなければならないのが、以下の3つです。
- 取引年月日
- 取引内容
- 金額
会計ソフトにはそれ以外の入力項目があると思いますが、最低限この3項目だけは漏れなく記録するようにしてください。
帳簿作成に必要な資料
売上や経費を漏れなく集計するのに必要な資料は以下の通りです。
【売上】
- 銀行通帳
- Paypal等の利用明細
- 請求書(控)
- 領収書(控)
- 支払調書等
【経費】
- 銀行通帳
- クレジットカードの利用明細
- 領収書
- レシート
- 出金伝票等
もちろん、これ以外でも売上や経費の証明になるものがあれば、それに基づき、売上や経費を集計していくことになります。
申告タイプ別「帳簿」の作成方法
申告の種類を大きく分けると、「青色申告」と「白色申告」の2つに分けられます。
「白色申告」も今は帳簿の作成が義務付けられているので、帳簿の付け方で分類すると、以下の2つに分類されます。
①青色申告55万円控除
②青色申告10万円控除又は白色申告
②青色申告10万円控除又は白色申告であれば、単式簿記でいいので、エクセルで家計簿や銀行通帳のような簡単な帳簿を作成すれば足ります。
しかし、①青色申告55万円控除となると複式簿記が必須で、とてもエクセルで対応できるレベルではないので、会計ソフトに頼らざるを得ません。
したがって、①青色申告55万円控除の方は会計ソフトを使って帳簿作成、それ以外の方はエクセルで帳簿作成、というのが現実的な対応になります。
ちなみに、2021年度に青色申告したい方は2021年3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を出していないと青色申告を選択できませんので、ご注意ください。
2.決算書作成
申告種類別「決算書」の種類
申告の種類によって提出する「決算書」が異なります。
- 白色申告の方:「収支内訳書」
- 青色申告の方:「青色申告決算書」
白色の「収支内訳書」の場合は2ページで、売上や経費の損益計算書と、その補足情報で構成されています。
青色の「青色申告決算書」になると4ページで、損益計算書やその補足情報の他に年度末時点での資産や負債の状況を示した貸借対照表が必要になってきます。
なお、青色でも10万円控除の方は「現金主義用」という方になるので、白色申告の「収支内訳書」に近い形になります。
※各書式の詳細は国税庁の下記サイトをご参照ください。
▶収支内訳書(一般用)【令和2年分以降用】(PDF/718KB)
▶所得税青色申告決算書(一般用)【令和2年分以降用】(PDF/955KB)
▶所得税青色申告決算書(現金主義用)【令和2年分以降用】(PDF/604KB)
「決算書」の作り方
会計ソフトを使っている方は通常この「決算書」を作る機能が会計ソフトに備えられています。
1.帳簿作成をしていれば、ほぼ問題なく出来上がると言えます。
エクセルで帳簿を作っている方は、国税庁の確定申告書作成コーナーを利用すると簡単に作成できます。
そして、国税庁の確定申告書作成コーナーを使った「決算書」&「確定申告書」の作成方法はこちらの動画で詳しく解説しております。
3.確定申告書作成
帳簿の種類別「確定申告書」の作成方法
こちらも「決算書」と同じで、会計ソフトを使っている方は「確定申告書」を作成する機能が付いていると思いますので、会計ソフトで作成します。
エクセルで帳簿を作っている方は、国税庁の確定申告書作成コーナーで、「決算書」を作った後に、そのデータを使って、そのまま「確定申告書」を作ることができます。
確定申告書の作成に必要な資料
「確定申告書」を作成するにあたって、必要な主な資料は以下の通りです。
- 源泉徴収票
- 支払調書
- 国民年金控除証明書
- 健康保険料の支払明細
- 国民年金基金/小規模企業共済/iDeCo掛金の払込証明書
- 生命保険料/地震保険料の掛金控除証明書
- 医療費の領収書
- マイナンバー
10月以降、各種書類がお手元に届いていると思いますので、A4ファイルにまとめて入れておくと、「確定申告書」を作るときになって「どこにしまったっけ?」と慌てなくて安心です♡
4.確定申告書提出
提出書類
提出する書類は以下の3つです。
- 確定申告書B
- 決算書
- 添付書類
「決算書」は白色の方は「収支内訳書」、青色の方は「青色申告決算書」と種類が異なります。
「添付書類」はマイナンバー等は共通ですが、それ以外の各種控除証明書はご自身の控除項目によって変わります。
上述の「確定申告に必要な書類」でご確認ください。
また、「確定申告書」と「決算書」は必ず税務署に提出する書類とご自身の控用の2部を用意しましょう。
各種控除証明書は電子申告以外では、原本を税務署に提出することになるため、添付書類もコピーを手元に残しておくと安心です。
提出方法
提出方法は以下の3パターンがあります。
- 税務署へ持参
- 税務署へ郵送
- 電子申告
昨年2020年度分からは電子申告でないと、青色申告の特別控除が65万円取れなくなってしまいましたので、出来れば電子申告で提出することをおススメします。
電子申告のためには、マイナンバーカードの取得、カードリーダーの購入、利用者識別番号の取得の手続きが必要になります。
税務署へ郵送する場合には、必ず追跡可能な方法(簡易書留、レターパックライト等)で郵送しましょう。
また、控えが自分の手元に返ってくるように、切手を貼付し、返送先の住所を記入した返信用封筒も忘れずに同封してください。
5.納税
期中に源泉等されていて税金が還付される方は、「確定申告書」に銀行口座を記入すると、1ヶ月以内にその口座に入金されます。
それ以外の方は、以下のいずれかの方法で期日までに税金を納付する必要があります。
- 銀行窓口
- 振替納税
- クレジット
通常、納付期限は申告期限と同じ3月15日ですが、振替納税の手続きをしておくと4月中旬に銀行から引き落としとなりますので、納付忘れを防止できるほか、資金繰り的にもゆとりができる点からおススメです。
最後までお読み下さいましてありがとうございます。
以上、確定申告の全体の流れと各々の手続きについて簡単に解説させて頂きました。
年に1回の煩わしい確定申告作業の一助になれば幸いです。
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