Written by Hiroko Saito

【青色申告決算書解説シリーズ⑩】保険料とは?

確定申告

こんにちは、公認会計士/税理士の齊藤寛子です。

そろそろ確定申告が気になる個人事業主の方向けに、お役立ち情報をお届けしています。

先日から「確定申告書」とセットで提出する「青色申告決算書」について複数回に渡り、詳細解説をお届けしています。

今日は【青色申告決算書解説シリーズ】第10弾として、「損益計算書」内に計上される事業経費のうち、8番目の「保険料」について詳細解説します。

1.保険料とは?

保険料とは、自動車保険料、損害保険料などに係る支払を言います。

保険料に含まれるものには以下のようなものが挙げられます。

  • 損害保険料、定期保険料、損害賠償責任保険料、傷害保険料、火災保険料、盗難保険料、自動車任意保険料、自賠責保険料、PL保険料、店舗総合保険料、建物共済保険料、動産総合保険料、傷害保険料、地震保険料、旅行保険料、運送保険料、輸出海上保険料、輸入海上保険料、経営セーフティ共済等

ちなみに、保険料はすべて「非課税」となります。

freee会計でも、デフォルトで「非課税」に設定されていますので、気になる方はぜひ「設定」メニュー>「データ設定」>「勘定科目の設定」からご確認ください。

2.保険料(経費) or 保険積立金(資産)?

保険は大きく分けて2つのタイプに分類できます。

  1. 貯蓄性のない掛捨て型
  2. 掛金の一部を積み立てる積立型

これらのうち、保険料が経費となるのは原則として、1.掛捨て型のみで、2.積立型は掛け金の一部が経費とはならず、「保険積立金」として資産に計上します。

具体的な処理は商品ごとに異なりますので、商品パンフレット等でしっかり確認しましょう。

3.個人事業主の保険料

商品及び事業用の減価償却資産に対する火災保険料など事業に関係するものであれば、「保険料」として経費に計上できます。

一方で、個人事業主の生命保険料や自宅の火災保険料など事業に関係ないものは経費に計上できませんが、生命保険料や地震保険料については確定申告時の所得控除の対象となりますので、お手元に届いた「保険料控除証明書」は確定申告までしっかり保管しておきましょう。

また、事業に関係するものであっても、積立部分に関しては「保険積立金」として資産に計上することとなり、経費とはなりません。

4.個人事業主が従業員を被保険者とする養老保険

(1)死亡保険金及び生存保険金の受取人が個人事業主の場合

「保険積立金」で処理します。

(2)死亡保険金及び生存保険金の受取人が従業員もしくはその遺族の場合

「給料手当」で処理します。

(3)死亡保険金の受取人が従業員の遺族、生存保険金の受取人が個人事業主の場合

2分の1は「保険積立金」として資産に計上し、残りの2分の1は期間の経過に応じて「保険料」として処理します。

5.法人が役員又は従業員を被保険者とする養老保険

(1)死亡保険金及び生存保険金の受取人が法人の場合

保険契約が終了するまで、保険料は「保険積立金」として資産に計上します。

(2)死亡保険金及び生存保険金の受取人が役員・従業員もしくはその遺族の場合

「役員報酬」又は「給料手当」で処理します。

(3)死亡保険金の受取人が役員・従業員の遺族、生存保険金の受取人が法人の場合

2分の1は「保険積立金」として資産に計上し、残りの2分の1は期間の経過に応じて「保険料」として処理します。

6.運送保険料の取り扱い

商品を仕入れる際に、運送料・関税・輸入消費税等の諸費用以外に保険料が発生するケースがあります。

この場合、商品の購入代価と合わせて保険料等の諸費用も「仕入高」に含めて計上することとなります。

7.保険料の計上時期

一般的に、保険料は契約期間前に支払う前払いのケースがほとんどです。

また、場合によっては1年を超える保険期間の保険料を一括で支払うケースもあります。
このように、支払った保険料の内、当期の会計期間に対応する部分だけが当期の経費となります。

個人事業主の場合でしたら、12月末までの契約期間に係る部分を月割計算して、当期の経費部分を算出します。

ただし、支払日から1年分の保険料であれば、毎年継続的に同様の処理をすることを前提に、本来は翌期以降の契約期間に該当する部分も当期の経費として処理することも許容されています。

あくまでも「毎年継続的に同様の処理することが前提」ですので、当期は利益が多く出たから全額経費にしたのに、翌期は利益があまり出ないから、翌々期に係る部分を経費としない、といった処理は認められませんので、ご留意ください。

保険料については税区分と経費に計上する範囲についてしっかり押さえて処理して頂けたらと思います。

「保険料」について、こちらの動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

最後までお読み下さいましてありがとうございます。

以上、「青色申告決算書解説シリーズ」第10弾として、「保険料」について簡単に解説させて頂きました。

年に1回の煩わしい確定申告作業の一助になれば幸いです。

なお、「ご自身で帳簿付けや確定申告書を作成するのが大変」という方向けに、記帳代行&確定申告書作成代行のサービスをご提供しております。
初回60分まで無料にてご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

▶【ご案内:1月&2月日程】記帳代行&税務申告書作成代行の無料相談のお知らせ