Written by Hiroko Saito

【確定申告書解説③:社会保険料控除】社会保険料を払ったら忘れずに…

確定申告

こんにちは、公認会計士/税理士の齊藤寛子です。

そろそろ確定申告が気になる個人事業主の方向けに、お役立ち情報をお届けしています。

先日から「確定申告書」の入力項目の内、「社会保険料控除」について複数回に渡り、詳細解説をお届けしています。

所得税は「売上」から「経費」を引いた「所得」からさらに、一定の要件を満たす「所得控除」の項目を控除した上で、「課税所得」を算出し、そこに所得金額に応じた税率をかけて計算されます。

今日はそんな「所得控除」の中から、3番目の「社会保険料控除」について詳細解説します。

1.社会保険料控除とは?

自分や生計が同じ家族の社会保険料を支払った場合には、全額を所得から差し引くことができます。

社会保険料に該当するのは以下の支払いです。

  • 健康保険料
  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料
  • 介護保険の保険料
  • 国民年金基金の掛金
  • 後期高齢者医療制度の保険料等

2.どこまでが所得控除の範囲になる?

国民年金保険料をまとめて払っている方やご家族分の保険料も支払っている方は、どこまでが所得控除に含められるのか、気になる所だと思います。

国税庁の「よくある質問コーナー」を参考に、一つ一つ解説していきます。

Q1.2021年中に国民年金保険料を「2年前納」した場合、2021年に支払った全額が2021年度の確定申告の社会保険料控除になりますか?

A1.前納した2021年&2022年分の国民年金保険料の全額を、支払った2021年度分の社会保険料控除とすることができます。
2021年分の保険料に相当する額のみを2021年度の確定申告で控除し、2022年分の保険料は翌2022年度の確定申告で控除することもできます。

Q2.2021年中に、2022年3月までの1年間分の保険料を支払いましたが、その支払った全額を2021年度の確定申告の社会保険料控除にできますか?

A2.2021年中に前納した期間が1年以内のものについては、2021年度の確定申告の社会保険料控除に含めることができます。

Q3.2021年中に、国民年金保険料を過去3年分まとめて支払いましたが、その支払った全額を2021年度の確定申告の社会保険料控除にできますか?

A3.2021年中に支払ったものであれば、過去の年分のものであっても2021年度の確定申告の社会保険料控除に含めることができます。

Q4.後期高齢者医療制度の保険料を、①年金から年金から特別徴収された場合と②口座振替により支払った場合で、社会保険料控除の取扱いはどのようになりますか?

A4.社会保険料控除については、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った方に社会保険料控除が適用されることになります。

  1. 特別徴収の方法により徴収されている場合、その保険料を支払った方は年金の受給者自身であるため、その年金の受給者に社会保険料控除が適用されます。
  2. 口座振替により保険料を支払った場合、口座振替によりその保険料を支払った方(被保険者又は被保険者と生計を一にする配偶者その他の親族に限ります。)に社会保険料控除が適用されます。

したがって、扶養の配偶者の介護保険料等の社会保険料が、配偶者の公的年金から特別徴収されている場合、その社会保険料を支払ったのは配偶者になるため、ご自身の社会保険料控除に含めることはできません。

一方、扶養の配偶者の社会保険料を口座振替で支払っている場合には、ご自身の社会保険料控除に含めることができます。

Q5.生計を一にしていた子が2021年4月に他県に引越しました。引越し後の生計は別になりましたが、その後も子の国民年金保険料を自分が毎月支払っています。この場合、支払った子の国民年金保険料は全額、自分の社会保険料控除の対象になりますか?

A5.自分が支払ったお子様の国民年金保険料のうち、生計を一にしていた期間、この場合では、1月~3月に支払った国民年金保険料についてのみ、2021年度の確定申告の社会保険料控除に含めることができます。

居住者が自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額をその居住者の社会保険料控除の対象とすることができますが、この場合の「自己と生計を一にする配偶者その他の親族」に該当するかどうかの判定時期については、国民年金保険料を支払った時点で判定します。

【国税庁HP】令和3年確定申告書よくある質問~社会保険料控除

3.社会保険料控除の提出書類

社会保険料の内、国民年金保険料と国民年金基金の掛金は、申告書に『社会保険料(国民年金保険料)控除証明書』を貼付することになっており、申告の際に提示することも認められています。

1月下旬頃に年金事務所から証明書が届くと思いますので、忘れずに申告書に貼付しましょう。

※1:給与所得者で、既に年末調整でこの控除を受けている場合は、添付又は提示は不要です。

※2:電子申告の方は申告後、紛失しないよう、お手元にしっかり保管しておきましょう。

4.確定申告書の入力方法

(1)所得控除の「社会保険料控除」欄の「入力する」ボタンをクリックします。

(2)真ん中の「入力する」ボタンをクリックします。

(3)社会保険料控除を種類ごとに入力します。

①社会保険料の種類()をリストから選択します。
②支払った社会保険料の金額を入力します。
③複数ある場合は、右下の「続けてもう1件入力」を、すべて入力し終わったら「入力内容の確認」ボタンをクリックします。

④入力内容を確認し、問題なければ、右下の「次へ進む」ボタンをクリックします。

(4)「社会保険料控除」欄に正しく数字が反映されていることを確認して完了です!!

個人事業主の場合、サラリーマンの頃と違って全額自己負担ですし、企業と違って社会保険料の金額を経費にすることは出来ませんが、税金計算上、所得から控除することが出来ますので、しっかり集計して、申告書には漏れなく記載しましょう。

▶【国税庁】確定申告書等作成コーナー

「社会保険料控除」ついて、こちらの動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

最後までお読み下さいましてありがとうございます。

以上、「確定申告書解説シリーズ」第3弾として、「社会保険料控除」について簡単に解説させて頂きました。

年に1回の煩わしい確定申告作業の一助になれば幸いです。

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