Written by Hiroko Saito

【青色申告決算書解説シリーズ⑰】利子割引料とは?

確定申告

こんにちは、公認会計士/税理士の齊藤寛子です。

そろそろ確定申告が気になる個人事業主の方向けに、お役立ち情報をお届けしています。

先日から「確定申告書」とセットで提出する「青色申告決算書」について複数回に渡り、詳細解説をお届けしています。

今日は【青色申告決算書解説シリーズ】第17弾として、「損益計算書」内に計上される事業経費のうち、15番目の「利子割引料」について詳細解説します。

1.利子割引料とは?

利子割引料とは、事業用に借入をした際に支払う利息(金利手数料)及び信用保証料や、手形の割引料の支払いを言います。
「支払利息」とも呼ばれます。

また、利息割引料は「非課税」となります。

2.利子割引料の処理

(1)利息が前払いのケース

①2021/7/1:
銀行から金銭消費貸借契約により300万円を借り入れ、普通預金口座に入金された。
借入期間は5年、利息は1年毎(1年目は6万円)の前払いである。

②2021/12/31:
借入時に支払った利息の内、翌期(2022/1/1~2022/6/30)に係る部分(30,000円=60,000円×6ヶ月/12ヶ月、簡便的に月割りで計算)を「前払費用」へ振り替えた。

③2022/1/1:
前期末に前払費用に振り替えた金額を当期の費用として、利息割引料へ振り替えた。

④2022/6/30:
1回目の元本の返済日が到来し、元本60万円及び支払利息5万円(2年目)が普通預金口座から引き落とされた。

(2)利息が後払いのケース

①2021/7/1:
銀行から金銭消費貸借契約により300万円を借り入れ、普通預金口座に入金された。
借入期間は5年、利息は1年毎(1年目は6万円)の後払いである。

②2021/12/31:
1回目の元本返済時に支払う利息の内、当期(2021/7/1~2021/12/31)に係る部分(30,000円=60,000円×6ヶ月/12ヶ月、簡便的に月割りで計算)を当期の費用として計上した。

また、1年内に返済予定の金額(600,000円=3,000,0000円÷5年)を「長期借入金」(固定負債)から「短期借入金」(流動負債)へ振り替えた。

③2022/1/1:
前期末に未払費用に計上した利息を一旦取り崩す。
※利息の支払い時に取り崩すことも可能です。

④2022/6/30:
1回目の元本の返済日が到来し、元本60万円及び支払利息6万円(1年目)が普通預金口座から引き落とされた。

3.前払費用の例外

原則として、支払利息の内、翌年以降に対応するものは年度末に「前払費用」に振り替える必要があります。

ただし、そもそも支払日から1年以内の期間の利息を支払った場合には、全額を「利息割引料」で処理し、そのまま年度末にも「前払費用」へ振り替えないことが許容されています。

4.利子割引料の按分計上

自動車をローンで購入して事業とプライベートの両方で使っている場合には、自動車ローンの金利(利子割引料)も事業で自動車を使っている使用比率などをもとに按分して経費に計上することができます。

例えば、自動車を事業用として30%使っている場合には、自動車ローンの金利の30%を「利息割引料」として経費にします。
プライベートで使っている70%分は「事業主貸」で処理すればOKです。

自動車ローンの元本や利息が事業用の銀行口座から引き落とされている場合には、freee会計の家事按分機能を使うと、期中は自動処理で全て「利息割引料」に計上し、最後にまとめて「事業主貸」勘定に振替処理を行ってくれるので便利です。

※freee会計の家事按分機能については、こちらの動画で解説しています。

借入等されている方は、正しく処理できているか確認して頂けたらと思います。

「利子割引料」について、こちらの動画で解説していますので、ぜひご覧ください。

最後までお読み下さいましてありがとうございます。

以上、「青色申告決算書解説シリーズ」第17弾として、「利子割引料」について簡単に解説させて頂きました。

年に1回の煩わしい確定申告作業の一助になれば幸いです。

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