Written by Hiroko Saito

【青色申告決算書解説シリーズ⑪】修繕費とは?

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こんにちは、公認会計士/税理士の齊藤寛子です。

そろそろ確定申告が気になる個人事業主の方向けに、お役立ち情報をお届けしています。

先日から「確定申告書」とセットで提出する「青色申告決算書」について複数回に渡り、詳細解説をお届けしています。

今日は【青色申告決算書解説シリーズ】第11弾として、「損益計算書」内に計上される事業経費のうち、9番目の「修繕費」について詳細解説します。

1.修繕費とは?

修繕費とは、建物、機械、備品等の修理・保守・メンテナンスに係る支払を言います。

修繕費に含まれるものには以下のようなものが挙げられます。

  • 維持管理、原状回復、定期点検、解体、点検整備、移設、保守点検、机・イス・備品等修理代、壁塗替え、外装塗装、床張替え、畳替え、屋根修理、部品取替え、故障修理、制服直し、OA機器保守、スマホ修理等

このように、建物、機械、備品等の修理・修繕にかかった費用は、「修繕費」として処理します。

ただし、修理・修繕であっても、資産の性能等を向上させるものは、新たな資産を購入したものとみなされます。
このような支出を「資本的支出」といい、経費には計上できず、固定資産に計上し、耐用年数に渡って減価償却費を計上していく形になります。

以下で、この「修繕費」と「資本的支出」の分類について見ていきます。

2.修繕費に分類されるもの

修繕費とは、もともとある資産の維持管理のため、または災害などにより棄損した状態から回復させるためのもので、以下のものが該当します。

  • 通常の維持管理費用:ガラス交換、壁紙の貼り替えなど
  • 3年以内の周期の修繕:3年以内の周期で行われていることが明らかな改修・改装・修理など
  • 20万円未満の支出:OA機器の保守点検、部品の交換、車検など
  • 原状回復のための費用:退去時の原状回復費など

3.資本的支出に分類されるもの

資本的支出はもともとある資産の価値を高めたり、その使用期間を長くするためのもので、以下のものが該当します。

  • 用途変更:倉庫を店舗に改良した場合など
  • 新たに機能や構造物を追加:店舗に作り付けの棚を設けたときなど
  • 機械の性能や価値が増加:通常の修理の枠を超えた改良を加えたとき

4.修繕費か資本的支出か迷ったら?

2.及び3.にて修繕費と資本的支出の分類について書きましたが、中には判断に迷うものもあるかと思います。
そんな場合、フローチャートに沿って判断すると簡単です。

オフィスや店舗を改装した等、多額の支出があった場合、それを「修繕費」(経費)として一括費用計上できるのか?、または一旦、「固定資産」に計上して、「法定耐用年数」に基づいた「減価償却費」だけを費用計上できるのか?で、納める税金の額も随分変わってきます。

個人事業主・経営者の方は出来るだけ税金を減らしたいので、「経費」に落としたいでしょうし、税務署としては出来るだけ税金収入を増やしたいので、「固定資産」として計上してほしいということで、税務調査でも注意深くみられるポイントでもあります。

確定申告前には「修繕費」に計上してきた中身を見直して、「資本的支出」が混在していないかチェックしておきましょう。

「修繕費」について、こちらの動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

最後までお読み下さいましてありがとうございます。

以上、「青色申告決算書解説シリーズ」第11弾として、「修繕費」について簡単に解説させて頂きました。

年に1回の煩わしい確定申告作業の一助になれば幸いです。

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